11月はトパーズ
トパーズ。この宝石の色は何色?と聞かれたら、どんな色を想像されるのでしょうか。トパーズには、無色、イエロー、オレンジ、ブラウン、ピンク、バイオレット、レッド、グリーン、ブルーなど、さまざまな色が存在します。中でも、「インペリアル・トパーズ」と名付けられているシェリー・イエロー色のものは品の良い微妙な色合いが人気で、希少価値もあり、私も大好きな宝石の一つです。 カジュアルなラインでは、水色のトパーズもとても多く出ていますね。こちらは、スパッとクリアな色合いが、楽しく爽やかな感じで、身につけていると元気になる気がします。
トパーズは硬度8と、かなり硬い宝石に分類されますが、劈解性が強く、衝撃には弱い石といえます。リングなど、床に落としたりしないよう、気をつけてくださいね。
村上龍さんの「ラブ&ポップ」という作品。主人公の女子高生が真夏のある日にインペリアル・トパーズと出会い、どうしようもなく魅了されてしまい、なんとかして手にいれたくて、ある行動に出る一日を描いたものでした。映画化もされたようですが、ダイヤモンドでもエメラルドでもなく、インペリアル・トパーズというところが、渋い・・ですね。 そして、業界ではオレンジ味のイエローと表現するインペリアルトパーズの色を、淡いピンク色と表現されるなど、私にはとても印象的なストーリーでした。 トパーズの語源は、ギリシャ語の“捜し求める” Topazos からきているそうで、村上龍さんは、「トパーズ」のそんな意味もストーリーに重ねられたのかもしれないですね。
高村光太郎の詩「レモン哀歌」の中にも、「トパーズ」がでてきます。少し、抜粋します。
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
「トパアズいろ」。とても奇麗な言葉ですね。「トパーズ」という響き自体にも、どこかすごく垢ぬけたところがある気がします。微妙な大人にしかわからない、ニュアンスを秘めた色。目に見えない香りにこそついた色。
ふっとある香りに触れたとたん、さぁ~っと以前にあった出来事を思い出すことがありますね。 そんな時、あなたはその情景とともに、どんな色を思い出されるのでしょう?