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ジュエリーを売るということ

February 07, 2024

しばらく、このブログとご無沙汰になっていました。 ‥ふと履歴を見ると、営業日のご案内以外は、年に一度のペースになってしまっていて。言葉でお伝えしたいこともたくさんあるのに、大反省です。

昨今の地金高。ニュースにまでなっているので、今更お伝えすることもないと思いますが、いまや、24金は1g1万円を超す高騰ぶり。 その昔、私がこの仕事を始めた頃、リングのデザインでは、地金の値段は気にしなくていい 、とまで言われていたのが、ウソのようです。

そんな現状もあって、コロナ前あたりから、あちらこちらで “地金売りませんか” という広告が目に付くようになってきました。私の周りでも、どこが高く買ってくれるとか、感じが良かったなど、聞くことが増えたのですが。 確かに、捨ててもいいと思っていたようなチェーンやリングが、ちょっとしたお値段になって、お小遣いになるとしたら、嬉しいですね。 ただ、・・・

今、売ってしまっていいの?

アンティークといわれるまで持ち続け、傷んだら修理に出して‥、または、作り直して、家族の、一族の宝物として大切に受け継いでいく 欧米や中国のジュエリーに対する価値観。 彼らは、そんなに簡単にジュエリーを手放しません。 たとえそれほど高価なものでなくても、そんなに簡単に売ってしまうようなアイテムではないのです。 日本で、ジュエリーが今のように生活に浸透してきたのは、ほんのこの100年ほどのこと。 まだ、そういった価値観でジュエリーを見るのは、難しいのかもしれませんね。  

ホロコーストの時、ダイヤモンドがあったから・・。戦争で、国を追われるとき、スカートの裾に縫い込んだ宝石があったから・・は、よく聞く話です。 戦争を持ち出さなくても、いざ困ったときに頼りになるもの。 ・・ただ美しいだけでなく、そんな一面をジュエリーは持っているのだということを、もっと心に留められてもいいのではないでしょうか。 邪魔になるから・・は、確かに、延べ棒くらいの大きさになると、けっこうなボリュームですけれど・・ね。 

薄汚れた指輪も、ちょっと磨きにだしたり、修理をすると、すっかり見違えるもの。 お直しした後のジュエリーをご覧になって、「え~っ、こんなに素敵なジュエリーだったの⁈」と驚かれるシーンを、どれほど見てきたことでしょう。 平成の頃に、古臭いと嫌われていた昭和のアイテムが、今やちょっとした昭和ブームで、またもてはやされていたり・・。 そんなことを見るにつけ、もう少し長い目で、ジュエリーを見つめ、大切に持ち続けるということを、考えてみてもいいのでは、と思っています。

ジュエリーの基本 2

June 09, 2021

前回書いたジュエリーの基本1. 金もプラチナも知っているけれど、パラジウム?と、聞きなれない名前が出てきましたね。 投資などされている方には、注目?の貴金属。 元々、とても希少なレアメタルであるパラジウムは、自動車産業などで触媒に使われるそうで、近年、驚くほど価格が上がっているという現状があります。 ジュエリーで利用される場合は、単独で使われることはなく、プラチナの硬さを出すための割金として使われることがほとんどです。

プラチナは、粘りがあり、割れにくいので、いわゆる加工性がいい。 たとえば、石を同じ形の地金の違う石枠の爪で留めた場合、K18 より、Pt900 のほうが、柔らかく粘って石に吸い付くように留まってくれます。 より細くても折れにくいという性質もあります。 地金の曲げ伸ばしなど、もたもたしていると、じわっと割れが入る恐怖!! ものつくりには、素材の知識がかかせません。

19世紀の終わりにイギリスで大流行したエドワーディアンと呼ばれる、繊細なジュエリーの数々は、プラチナの細くても粘りのある強さを生かすことができてこそのデザインでした。 それまで、白い色の地金と言えば、シルバーしかなかった時代、プラチナに、パラジウムなど硬さを出せる貴金属を混ぜることで、強さと加工性を調節することができるようになりました。

ただ、粘る分、磨くのが大変!と私は感じるのですが、この地金に慣れている職人さんに言わせると、扱いやすいのだそう・・・何事も修練ですね。

ジュエリーの基本 1

March 07, 2021

ずっとこの仕事をしていると、私にとってや、業界の人にとって当たり前のことが、実は全く知られてなかったり、誤解されていたり・・。 お客様もびっくりかもしれませんが、こちらもびっくり・・ということも度々あります。

良くご存じの方には、何でもないお話も多くなるかと思いますが、ジュエリーって、どんなもの?ということを書いてみたいと思いました。

まずは、ジュエリーに使われる貴金属。 金(Au)やプラチナ(Pt)からご説明を。 日本では、格下に見られがちですが、銀(Ag)も、ジュエリーとして通用する貴金属とされています。 他には、白金族のパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)など、主にプラチナの割金に使われることが多い希少金属も貴金属の仲間です。 混乱されがちですが、“白金” と、金の字がついてますが、これはプラチナのこと。 金(Au)のホワイトゴールドとは、別ものです。

貴金属は、希少で、加工性がよく、科学的に安定しており、腐食などしにくいという特徴があります。オスミウムは、近年ジュエリーにもメッキにも使われなくなりましたが、ロジウムは、白色を出すためのメッキとして多用されますし、パラジウム、ルテニウム、イリジウムは、あまり耳にされたことはないかもしれませんが、割金として、金やプラチナの硬さを出すために割合一般的に使われています。

沢山、聞きなれない名前が出てきましたね。 今日は、このあたりで。 また、少しづつお話したいと思います。 

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