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二月堂 修二会

March 12, 2013

 春を告げる行事といえば、“お水取り”。 毎年、必ず各新聞の一面を飾りますね。 京都から奈良へは電車でほんの一時間ほどの距離。 大阪や神戸に行くよりも近いくらいの距離なのに、なぜかほとんど出かけることありません。 京都に住む者にとっては、近くて遠い街。 そんな奈良へ、最近仲良くなったお友達に誘われて、東大寺のお水取りを見にでかけました。
 思い切り観光気分で出かけたのですが、心底、日本って素敵~!と思えた一夜でしたので、今回は、少し長くなりますが、じっくり書いてみたいと思います。 京都にお越しになることがありましたら、ぜひ、奈良へも。 何年後か、リニアモーターカーも通るそうですね。  どんなに近代化されてもずっと変わらない人々の営み、そして祈る心。 大切にしたいと素直に思いました。
 さて、車に揺られて景色を見ていると、なんとものどかな奈良の風景。 同じ古都でも京都とは違う大陸的な大らかさがそこかしこに感じられて、早や観光気分! 早い目の食事を済ませて、二月堂に向かいました。
小高い斜面に建つ二月堂。 遠くからでも、良く見えます。

松明になる竹。 女性一人では到底持てそうにない大きさ!

 752年から一度も絶えることなく続けられているお水取り。 修二会というのが本来で、今年で1262回目だそうです。 戦争中も休むことなく続けられた“不退の行法”として有名で、練行衆といわれる11人の僧侶が人々に代わって、罪を悔い改め、五穀豊穣を祈られます。 執事長から、ショーではないので、拍手などしないようにと注意をうけ、神妙な心持ちに。 大松明は、御本尊の十一面観音菩薩の前で僧侶が祈るために登廊を登る折、足元を照らす明りとして、3月の1日から15日まで毎日焚かれるのです。
いよいよ・・・

お堂の真下で控えるのは、完全武装?した消防隊員の方々・・。 
明るいうちは、あまりの違和感に本当に風流がわかってないんだから・・などと、文句を言ってましたが、 確かに、この燃えっぷりは、なかなかのもの。

 あまりの迫力に、ちょっとびっくり! 写真でみるよりずっと豪放で、足元を照らすって?…とちょっと笑ってしまいます。 本当にお堂に火がうつりそうで、ヒヤヒヤしました。
 火が消えると、ほとんどの方が家路につかれるのですが、行はまだまだ続きます。
 練行衆が堂内に入られてからも続く行は、一見の価値のある特殊なものなのだそうですが、残念なことに、女性は局と呼ばれるお堂の中でも 外側の部分から読経を聞くだけ。 行の見えるもうひとつ内側の 外陣と呼ばれる場所へは、男性しか入ることが許されていません。 それでも、しんしんと深夜に向かって冷え込む空気と蝋燭程の薄明かりの中、しみじみと響く読経の声を聞いていると、なんともありがたい気持ちがしてきました。

お堂の外。 中は本当に真っ暗に近いので、この明りにホッ。 大勢の見物人も帰られて、凍てつくような寒さの中、静まり返った夜空に読経の声と行をされるガタン!ガタン!という下駄のぶつかるような音が響きます。

振り返ると、奈良の街と大仏殿のシルエット。ほんの100年ほど前は、もっと真っ暗だったんだろうな。この場所から、何人の人がこの景色を見たのかしら…気持ちがふっと時を越える気がしました。

 ところで、修二会がお水取りと呼ばれる元となった、若狭井という井戸から香水を汲んで観音様にお供えする儀式ですが、これもまた、たいそう人間らしい神様の故事から始まったそう。 興味の有る方はちょっと調べてみてくださいね。 なかなか楽しい神様です。 ちょっとした逸話がいろいろあって、またそれが大切に受け継がれて次の世代に伝えられる。 そんな今なら、面倒くさいの一言で済ませられてしまいそうな小さなことも、大事にしてみると案外豊かな気持ちになるものなのかもしれません。
若狭から続いているという井戸。(左がわ)

お土産に、びん入りの御香水と、霊験あらたかといわれる松明の消し炭?をいただきました。 この、御香水の瓶の反対側には二月堂の文字が入ってます。 この清廉な感じが、奈良らしい~? 何でもないのに、素敵なデザイン!本当にぬかりないKさんのおかげで、堪能いたしました! ありがとうございました!

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